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糖尿病と動脈硬化その1(糖尿病における頚動脈エコー検査の意義)

文責 加藤 全

動脈硬化症は糖尿病の重要な合併症です。

 糖尿病では動脈硬化症が進みさまざまな合併症が生じてくることが知られています。

動脈硬化症による合併症には、虚血性心疾患や脳梗塞、閉塞性動脈硬化症という病気があります。虚血性心疾患や脳梗塞は死因となりうる怖い病気ですし, 脳梗塞については麻痺や痴呆の原因にもなる病気ですが、糖尿病患者さんにおける虚血性心疾患や脳梗塞の発症率は糖尿病ではない人と比べて3倍以上になっています。

もう一つの閉塞性動脈硬化症は足が冷たくなったりしびれたり、あるいは歩いていると痛みで歩けなくなったりする病気ですが、下肢の病気として重要であるばかりではありません。下肢の閉塞性動脈疾患を持つ患者さんでは虚血性心疾患や脳梗塞で高率に死亡することが知られており、その意味でも診療上重視されています。

以上のように糖尿病から引き起こされる動脈硬化症は患者さんの痴呆や死因にも関係しているので糖尿病患者さんの診療の上で重要な視点になっています。

糖尿病患者さんになぜ、頚動脈エコーを行う必要があるのか?

 日本における虚血性心疾患と脳血管障害を含めた血管障害による死亡率は、癌による死亡率に匹敵するほどですが、この虚血性心疾患や脳血管障害の原因となる動脈硬化症を糖尿病は促進させます。

動脈硬化症が原因となって引き起こされる虚血性心疾患や脳血管障害は、糖尿病患者さんの主要な死因になっていますから動脈硬化症の評価はこれまでも重視されてきました。

近年、頚動脈の病変が全身の動脈硬化症の程度を反映していることがわかってきたことから、頚動脈エコー検査が全身の動脈硬化症の評価に用いられるようになってきました。

頚動脈エコー検査の利点と信頼性

 エコー検査は従来から行われている血管造影検査とくらべて格段に患者さんの負担が少ないばかりでなく、頚動脈の血管壁を十分な解像度で観察できる唯一の検査としてその精度の面でも高い評価がなされています。

頚動脈硬化症の程度が強い場合には内膜剥離術という外科的治療をおこないますが、アメリカではすでにこの内膜剥離術の適応を頚動脈エコーのみで診断する施設が増加しているほどの高い信頼性を有する検査でもあります。

頚動脈エコー検査が診療でどのように生かされているか

 糖尿病に合併する動脈硬化症を大血管症というのですが、この大血管症の発症や進展を予測する指標としてIMTというものが重視されています。このIMTは頚動脈エコーで計測されます。

IMTの比較では糖尿病患者さんでは糖尿病でない人に比べて20年以上動脈硬化が進展していることがわかっています。IMTが一定以上の値になると虚血性心疾患や脳梗塞が急増することも知られています。IMTの他にも検査する項目はいくつかあり、それらを総合的に判断して診療に生かしていきます。

IMTで肥厚が認められた場合には血糖やコレステロール、血圧、喫煙などの動脈硬化を促進させる因子のより厳しい管理が必要となってきます。

また、頚動脈エコー検査の結果アテローム性動脈硬化症と診断された場合には抗血小板薬と呼ばれる飲み薬の使用、高度な狭窄病変を認めた場合には内膜切除術などの手術の必要性を検討することになります。