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病気について

インスリンポンプによる持続的皮下インスリン注入療法(CASII)

主任教授 山田研太郎

血糖が不安定な1型糖尿病のための治療法

持続的皮下インスリン注入療法(continuous subcutaneous insulin infusion, CSII)は携帯型ポンプを用いてインスリンを持続的に皮下に注入する治療法です。
健康な人では、食後にインスリンが分泌される以外に、基礎となるインスリンが常に少しずつ分泌され、血糖を安定化するのに役立っています。ところが、1型糖尿病では食後分泌も基礎分泌も減少しています。普通のインスリン治療では、速効型(R)または超速効型で食後分泌を補い、NPH(N)かランタスあるいはレベミルを1日に1~2回注射することで、基礎となるインスリンを補います。しかし、1型糖尿病のなかには、このような治療では血糖が安定せず、高血糖と低血糖を繰り返す方がおられます。CSIIが効果を発揮するのはそのような場合です。

基礎注入速度をプログラム

最近のインスリンポンプは、インスリン注入速度が時間帯によって変わるようにプログラムすることができます。この機能を活かして、低血糖を起こしやすい時間帯(たとえば睡眠中)は注入速度を落とし、血糖が上昇してくる時間帯(たとえば早朝)には速度を上げるようにすると、血糖値を安定に維持することができます。激しい運動を行う場合など、一時的に注入速度を落として低血糖を予防することも可能です。

食事にあわせたインスリン注入にも便利

食事の際のインスリン注入は、インスリンポンプのボタンを押すだけで行えます。毎回針を刺す必要はありません。ポンプに詰めるインスリンは超速効型ですから、食事の直前に注入します。0.1単位刻みの微調整ができるので、カーボカウンティング(食事の炭水化物量に応じて注射量を変える方法)による調節も正確に行えます。また、ゆっくり食事をとる場合などは、30分以上かけて徐々に注入することも可能です。

CSIIの注意点

CSIIはインスリン注射に生活を合わせるのではなく、食事、運動、睡眠などの生活に合わせてインスリンを調節することができる優れた治療法です。しかし、なかにはインスリンポンプを24時間装着することがストレスに感じる人もおられます。CSIIが効果をあげるには、積極的にインスリン治療に取り組もうという意欲と、ポンプを適切に扱える判断力が必要です。ポンプが故障したり針が詰まったりすると急激に血糖が上昇するので、スペアの電池や、予備に普通の注射器を用意しておきましょう。また、チューブの注入部位を清潔に保つことや、皮膚が硬くならないように場所をローテートするのも大切な注意点です。