糖尿病の最近の話題

糖尿病の患者さんは増えています。

平成29年国民健康栄養調査(厚生労働省)ではわが国で「糖尿病が強く疑われる者」が1,000万人に達したと報告されています。糖尿病はそれ自体で起きる症状が少なく、様々な合併症が起きてわかる場合も多い病気です。合併症が起きると生活に支障が出るだけでなく、生命に危険が及ぶこともあります。糖尿病の治療はそれらの合併症を予防することで健康寿命を延ばすことを目的としていますので、早期発見・早期治療が重要です。

糖尿病では癌に注意!

糖尿病患者さんでは癌が増加するといわれています。その確率は糖尿病ではない方と比べて1.7倍ともいわれています。特に肝臓癌、膵臓癌、大腸癌が増加するため、糖尿病の患者さんでは定期的に腹部超音波検査やCTなどを受けることが望ましいとされています。急に血糖コントロールが悪くなったり、体重が減ってきた場合は癌の発生を疑って検査をすることをお勧めします。その他にも、糖尿病患者さんでは骨粗鬆症が増えることや認知症が増えることも言われています。

糖尿病の治療は「健康寿命を延ばすこと」につながります。

糖尿病の治療は血糖値を下げることだけではなく、血圧やコレステロール、体重の管理を行い、健康寿命を延ばすことにあります。そのためにはバランスの良い食事と適度な運動が欠かせません。食事については極端に制限すると筋肉量も減らしてしまう恐れがあり、その他にビタミンやミネラルなども不足してしまいます。食べすぎや偏食に注意しながらバランスの良い食事を心がけましょう。また運動も血糖値を下げることだけでなく、体の維持に必要ですので、週3回以上、20~30分程度の時間、ウォーキングやサイクリングなどの有酸素運動を行うと良いでしょう。糖尿病の治療薬には体重を減らす効果や食欲を抑える効果のあるものもあり、心筋梗塞や腎障害を抑えることや癌の発症を抑制することもできる可能性が言われているものもあります。

1型糖尿病ってなに?

1型糖尿病はインスリンが出せなくなる病気です。

糖尿病と言えば2型糖尿病をイメージする人が多いと思いますが、1型糖尿病は生活習慣とは関係なく、様々な要因によって膵臓のベータ細胞(インスリンを分泌する細胞)が破壊されることによって発症します。そのため、治療にはインスリンの補充が必要です。インスリンが十分に補充されなければ、ケトアシドーシスを起こし、命にかかわる状態になることもあります。

子供だけでなく、大人でも発症することがあります。

1型糖尿病は10歳前後の子供に発症することが多い病気ですが、成人でも発症することがあります。中には2型糖尿病として治療されている患者さんの中に隠れているもの(緩徐進行1型糖尿病)があり、食事運動療法を十分に行い、薬物療法を行っても血糖値が良くならない場合に1型糖尿病でみられる抗体(GAD抗体)が陽性となっていることがあります。また、最近では免疫チェックポイント阻害薬という種類の抗がん剤の副作用で1型糖尿病を発症することがあります。

1型糖尿病の治療法は進歩しています。

一般的にインスリン治療は1日に複数回(4~5回程度)の皮下注射を行います。しかし、1型糖尿病では普段通りの生活をしていても血糖値が安定しないこともあります。そういった場合に、インスリンポンプ療法を行うことがあります。インスリンポンプ療法ではインスリンの注入量を時間毎に変更でき、食事にあわせたインスリンも調整が容易のため、より良い血糖値を目指すことが可能です。興味のある方は主治医へお問い合わせください。

意外なところに潜む内分泌の病気

内分泌とは?

ヒトの体内では様々なものが一定に保たれています。例えば、水分バランスや血圧などがそれにあたります。それらの調整に関係する物質を「ホルモン」と呼び、内分泌疾患ではそれらのホルモンの作用に変調を起こします。ホルモンは脳や甲状腺、消化管や副腎といった代表的な内分泌臓器の他に、全身の様々な臓器から分泌され、その働きは全身に広がるため(表1:代表的なホルモンとその作用)、内分泌疾患は全身の様々な症状を起こします。

なんとなく体がだるい・・・。

熱や息苦しさはないけれど、なんとなく体がだるい…という場合にも内分泌の病気が原因となっていることがあります。例えば甲状腺ホルモンが不足すると、エネルギーがうまく使えなくなり、体がだるくなります。反対に甲状腺ホルモンが多くなるとエネルギーが消費されすぎて疲れやすくなります。このように内分泌の病気の症状は、はっきりしないこともあり、診断が難しいこともあります。

内分泌の病気を見つけるには

内分泌疾患はそれほど頻度の高い病気ではありませんが、気づかれずに潜んでいる可能性があります。気になる症状がある場合は、内分泌の病気を疑って、ホルモンの値をチェックしてみるのもいいでしょう。ホームドクターに相談してみましょう。もしそこでホルモンの値に異常があれば、いつでもご相談ください。当科は、多くの地域医療施設と密に連携医療を推進しています。