手術で治る高血圧!? −副腎の病気について−

高血圧症の種類

高血圧のうち血圧を下げるお薬を3つ以上使っても目標とする血圧まで下がらないものを難治性高血圧、あるいは治療抵抗性高血圧といいます。その要因として右のような項目が挙げられますが、その中でも副腎などの病気によるものを二次性高血圧といいます。二次性高血圧は高血圧全体のうち 10~15%を占めていると言われています。

難治性高血圧の要因

  1. 血圧の測定方法の問題(姿勢など)
  2. 生活習慣の問題(肥満、飲酒、塩分摂取など)
  3. 薬の飲み忘れ
  4. その他の疾患との合併(腎不全、心不全など)
  5. 血圧を上げる薬や補助食品、血圧を下げる薬の効果を妨げる薬の使用
  6. 睡眠時無呼吸症候群
  7. 二次性高血圧

副腎の病気

左右の腎臓の上にある臓器で、主に血圧・血糖・水分・塩分量などを調節するホルモンを分泌します。この臓器に腫瘍ができると、ホルモンが無秩序に分泌され、二次性高血圧を引き起こします。分泌されるホルモンにより主に3つの病気があります。

原発性アルドステロン症

体の中に塩分を貯めようとするホルモンであるアルドステロンが過剰に分泌されます。
二次性高血圧の中で最も多い病気です。

クッシング症候群

別名ストレスルモンといわれるコルチゾールが過剰に分泌されます。
高血圧の他に顔のニキビやむくみ、多毛、お腹が出る一方で
手足が痩せる、皮膚が赤くなる、気分が落ち込むなどが出現します。

褐色細胞腫(かっしょくさいぼうしゅ)

心臓の動きを活発化させ、血管を収縮させるホルモンであるカテコラミンが過剰に分泌されます。
発作的に血圧が急上昇し、同時に動悸や頭痛、吐き気、大量の汗が出ることがあります。

検査・診断

症状や血液検査、尿検査、負荷試験(外から薬剤を投与し体内のホルモンの反応やバランスをみる検査)で診断します。左右の副腎のどちらからホルモンが分泌されているか以下の検査も使用します。

CT 検査

体を輪切りに撮影した画像検査です。副腎の腫瘍の有無がわかります。

シンチグラフィー

放射線を出す薬を注射し、そこから出る放射線を画像化した検査です。
過剰にホルモンを分泌する方に薬は取り込まれ画像では黒く映ります。

副腎静脈サンプリング

左右にある副腎静脈それぞれから血液を採取する検査です。

治療

副腎の腫瘍が片方だけの場合や悪性の場合は外科的治療を行います。(褐色細胞腫は原則手術を行います。)左右両方の副腎に腫瘍がある場合や手術が困難な場合は内服薬での治療を考慮します。適切な治療により高血圧症が完治することもあります。

文責:原田奈佳

糖尿病の最近の話題

糖尿病の患者さんは増えています。

平成29年国民健康栄養調査(厚生労働省)ではわが国で「糖尿病が強く疑われる者」が1,000万人に達したと報告されています。糖尿病はそれ自体で起きる症状が少なく、様々な合併症が起きてわかる場合も多い病気です。合併症が起きると生活に支障が出るだけでなく、生命に危険が及ぶこともあります。糖尿病の治療はそれらの合併症を予防することで健康寿命を延ばすことを目的としていますので、早期発見・早期治療が重要です。

糖尿病では癌に注意!

糖尿病患者さんでは癌が増加するといわれています。その確率は糖尿病ではない方と比べて1.7倍ともいわれています。特に肝臓癌、膵臓癌、大腸癌が増加するため、糖尿病の患者さんでは定期的に腹部超音波検査やCTなどを受けることが望ましいとされています。急に血糖コントロールが悪くなったり、体重が減ってきた場合は癌の発生を疑って検査をすることをお勧めします。その他にも、糖尿病患者さんでは骨粗鬆症が増えることや認知症が増えることも言われています。

糖尿病の治療は「健康寿命を延ばすこと」につながります。

糖尿病の治療は血糖値を下げることだけではなく、血圧やコレステロール、体重の管理を行い、健康寿命を延ばすことにあります。そのためにはバランスの良い食事と適度な運動が欠かせません。食事については極端に制限すると筋肉量も減らしてしまう恐れがあり、その他にビタミンやミネラルなども不足してしまいます。食べすぎや偏食に注意しながらバランスの良い食事を心がけましょう。また運動も血糖値を下げることだけでなく、体の維持に必要ですので、週3回以上、20~30分程度の時間、ウォーキングやサイクリングなどの有酸素運動を行うと良いでしょう。糖尿病の治療薬には体重を減らす効果や食欲を抑える効果のあるものもあり、心筋梗塞や腎障害を抑えることや癌の発症を抑制することもできる可能性が言われているものもあります。

1型糖尿病ってなに?

1型糖尿病はインスリンが出せなくなる病気です。

糖尿病と言えば2型糖尿病をイメージする人が多いと思いますが、1型糖尿病は生活習慣とは関係なく、様々な要因によって膵臓のベータ細胞(インスリンを分泌する細胞)が破壊されることによって発症します。そのため、治療にはインスリンの補充が必要です。インスリンが十分に補充されなければ、ケトアシドーシスを起こし、命にかかわる状態になることもあります。

子供だけでなく、大人でも発症することがあります。

1型糖尿病は10歳前後の子供に発症することが多い病気ですが、成人でも発症することがあります。中には2型糖尿病として治療されている患者さんの中に隠れているもの(緩徐進行1型糖尿病)があり、食事運動療法を十分に行い、薬物療法を行っても血糖値が良くならない場合に1型糖尿病でみられる抗体(GAD抗体)が陽性となっていることがあります。また、最近では免疫チェックポイント阻害薬という種類の抗がん剤の副作用で1型糖尿病を発症することがあります。

1型糖尿病の治療法は進歩しています。

一般的にインスリン治療は1日に複数回(4~5回程度)の皮下注射を行います。しかし、1型糖尿病では普段通りの生活をしていても血糖値が安定しないこともあります。そういった場合に、インスリンポンプ療法を行うことがあります。インスリンポンプ療法ではインスリンの注入量を時間毎に変更でき、食事にあわせたインスリンも調整が容易のため、より良い血糖値を目指すことが可能です。興味のある方は主治医へお問い合わせください。

意外なところに潜む内分泌の病気

内分泌とは?

ヒトの体内では様々なものが一定に保たれています。例えば、水分バランスや血圧などがそれにあたります。それらの調整に関係する物質を「ホルモン」と呼び、内分泌疾患ではそれらのホルモンの作用に変調を起こします。ホルモンは脳や甲状腺、消化管や副腎といった代表的な内分泌臓器の他に、全身の様々な臓器から分泌され、その働きは全身に広がるため(表1:代表的なホルモンとその作用)、内分泌疾患は全身の様々な症状を起こします。

なんとなく体がだるい・・・。

熱や息苦しさはないけれど、なんとなく体がだるい…という場合にも内分泌の病気が原因となっていることがあります。例えば甲状腺ホルモンが不足すると、エネルギーがうまく使えなくなり、体がだるくなります。反対に甲状腺ホルモンが多くなるとエネルギーが消費されすぎて疲れやすくなります。このように内分泌の病気の症状は、はっきりしないこともあり、診断が難しいこともあります。

内分泌の病気を見つけるには

内分泌疾患はそれほど頻度の高い病気ではありませんが、気づかれずに潜んでいる可能性があります。気になる症状がある場合は、内分泌の病気を疑って、ホルモンの値をチェックしてみるのもいいでしょう。ホームドクターに相談してみましょう。もしそこでホルモンの値に異常があれば、いつでもご相談ください。当科は、多くの地域医療施設と密に連携医療を推進しています。